包摂都市ネットワークジャパン(以下、ICN-Japan)は、2018年3月に台北で開催した「第2回国際実践セミナー」に参加したメンバーの有志を中心に、設立に向けた準備が進められました。
ここでは、2018年の発足後の活動実績の概要について紹介します。
第2回国際実践セミナーの開催とICN-Japan設立の提案、その準備委員会が本格的に開始した。その後規約を作成し、包摂型都市の形成と都市間連携に向けて毎年東アジアの都市が持ち回りで開催している「東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ」に参加経験のあるメンバー、その他関連行事参加者に呼びかけてメーリングリストを作成し運用をはじめた。その後の活動の大きな柱として最も特徴的なものとしては、以下に紹介する①「都市行政ネットワークセミナー(ウェビナー)」、②「東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ」への参加(国際実践セミナーを並行して実施)、そして刊行物として③「ブックレットの刊行」等がある。
1.都市行政ネットワークセミナーの連続開催
本セミナーは、同年9月に台北で開催予定の第9回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップへの参加に向けた事前学習や交流の場として開催された。同時に都市行政職員の研修や、市民に身近な自治体の施策を知ってもらうための連続企画でもあった。2019年6月から8月まで計4回実施した。なお、同セミナーは、東アジアの都市間の連携にかかわるプラットフォームの形成に資する国内の都市行政間の交流も目指していた。
・第9回(6月29日・土):地域から発信する外国人住民との共生に向けた実践(八尾市)
・第10回(7月27日・土):泉北ニュータウンにおけるコミュニティ再生の取り組み丘の上の総菜屋さん山分けキッチン(堺市)
・第11回(8月20日・火):住之江区における地域福祉の視点を取り入れた防災の取り組み(大阪市住之江区)
・第12回(8月24日・土):住之江区の空き家対策:人と家の見守り(大阪市住之江区)
2.第9回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ@台北参加
・開催期間:2019年9月3日~9月8日
・会場:台北市内の社会的不利地域及びGIS Convention Center
包摂型アジア都市ネットワークのプラットフォーム形成を目指して始まった東アジア包摂都市ネットワークの第9回目ワークショップとして台北で開催された。ワークショップの場では、日本はじめ東アジア諸国からの参加者が、各地域の都市が共通して抱えているさまざまな都市問題の解決にかかわる「社会革新のための包摂型都市」に向けた都市政策的課題や、社会的不利地域と称される地域の再生に向けた実践的かつ政策的な取り組みにかかわる諸課題について議論しあった。
ワークショップでは各々の都市に潜んでいるさまざまな貧困や排除問題に立ち向かうための課題が新たに登場していることが確認でき、その解決策を模索し実践していくためにネットワークをさらに深めていくことが重要であるという認識を共有した。
1.包摂都市ネットワークジャパン連続企画ウェビナー
「引き裂かれた都市から包摂型都市へ:東アジア都市の福祉システム」(第1~8回)の開催
同年7月に開催予定であった第10回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップの開催が、新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で実施できず延期となったことを受け、これまで同ネットワークにかかわってきたメンバー間の交流及び成果発信の場として、連続企画ウェビナーを7月から8月まで、計8回オンラインで開催した。
2.包摂都市ネットジャパン・第2回連続企画ウェビナー「感染症と都市のたたかい」の開催
コロナ禍の収束が見えず、政治による「自助・共助・公助の国づくり」という言説が物議を醸していた時で、都市自治体からはじまる新たな公助の実践が注目されていたことから、先進的な取り組みを実践しているICN-Japan関連都市行政や民間セクターの事例を取り上げ、コロナ禍からの復興と新たな連帯の意義を議論した。
1.2021年第1回都市行政ネットワークセミナーの開催
大阪を中心に空き家再生を通じて現代社会が抱える地域課題の解決に取り組んでいる実務者と研究者の二人を招き、新たな空き家対策の可能性について議論する機会にした。
2.第10回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ@ソウル参加
・開催期間:2021年8月19日~8月20日
・オンライン開催(YouTube同時配信)
コロナ禍によって延期となった第10回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップを、各都市ネットワークが協議の上オンラインで開催することにした。その結果、主催側であるソウル市及びソウル国立大学他ICN-Korea関係者の協力によって、オンライン同時通訳やYouTube同時配信を活用した形で開催できた。ZoomやYouTubeにアクセスした数は1,200名を超える参加となった。ワークショップの詳細及び資料集は、以下のリンクからダウンロード可能である。
3.インクルーシブシティ研究会の開催
第10回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップを機に、今後の組織体制の強化に向けて、「都市行政ネットワーク・セミナー」を中心とする都市行政やNPOのネットワークを軸にした実践活動と貧困・社会的包摂をテーマに、東アジア地域研究をフィールドとする学術活動を両輪とする体制へと再編することが合意された。その関連行事として、2021年8月28日(土)に「第1回インクルーシブシティ研究会」をオンラインで開催した。当日は、上海交通大学陳映芳教授による基調講演の後、香港等からの研究者による英語セッション、そして日本語の報告セッションが設けられ、包摂型都市にかかわる議論を深めた。
4.2021年第2回都市行政ネットワークセミナーの開催
大阪府堺市の泉北ニュータウンで実施されている、デジタルプラットフォームを活用した交流活性化に向けた実証プロジェクトにかんする実践報告の場を設けた。これを機に今後のICT活用による地域力向上やコミュニティ活性化の可能性について、都市行政ネットワークセミナーの場を借りて研究者・行政職員・実務者等と議論する機会とした。
1.第11回東アジア包摂都市ネットワーク・プレワークショップ vol.1@日本・大阪
・開催期間:2022年7月24日
・オンライン・対面 ハイブリッド開催
2.第11回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ@日本・大阪
・開催期間:2022年8月23日~8月26日
・オンライン・対面 ハイブリッド開催
3.第1回 包摂都市ネットワークジャパン(ICN-Japan)会員総会 開催
日時:2022年10月15日(土) 16時30分~18時30分
会場:太子福祉館(西成プラザ)
〈当日のプログラム〉
総会
記念講演 「フィリピン人結婚移民の世帯内ケア」
講師:高畑 幸(静岡県立大学国際関係学部教授)
交流会
1.第12回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ@台湾・台北
・開催期間:2023年8月16日~18日
・対面 開催